2021年8月17日、Andrew Johnson著 - 4 分間の閲読
この時がいつか訪れることは分かっていました - 2020年12月20日、クリスマス休暇の準備で皆が忙しかった頃、馴染みのあるIEC 60950-1とIEC 60065がひっそりと置き代えられたのです。しかし、規格は最新の状態で維持されていなければならず、後継のIEC 62368-1第2版の準備はすでに整っていました(10年前に構想され、いくつかの思春期のような変化を経て、ついに開花の時期を迎えたのです)。「オーディオ/ビデオ、情報・通信技術機器。安全要件」というような洒落たタイトルを持ったIEC 62368-1は、古い規定を一掃し、より合意的なアプローチで安全性を確保するために、製品の製造者に危険性について考えることを求めています。IEC 62368は明確性を提供することを目的としていますが、移行プロセスや、古い製品やコンポーネントに再認証が必要かどうかについては、依然として混乱が残っています。
IEC 62368-1 が導入される理由の1つは、より明確なアプリケーションを備えた規格を提供することでした。IEC 60950-1 は元来、多くのIT向け製品が多く装備されていたオフィスの機器を対象としていました。IEC60065は視聴覚機器を対象にしたもので、オフィスプロジェクターや会議用機器などの複雑な装置を想定していました。スマートテレビはその良い例です。これは情報技術か、視聴覚機器か、あるいはその両方でしょうか?IEC 62368-1がこの混乱を解決します。
冷蔵庫から防犯カメラに至るまで、スマートテレビやインターネット接続を備えたミニデータセンターが家庭に普及したことにより、IEC60950-1は便利な規格となり、広く普及しました。その結果、様々な用途や環境に対応する膨大な数の製品が、この認証を取得しているにも関わらず、奇妙な状況に陥っているのです。これらの製品は、IEC 62368に対して再認証される必要がありますか? 個々のコンポーネントについてはどうでしょうか? 最終製品については事は明確になりましたが、少し複雑でもありました。北米では、ULはソフトの移行は許可し、既存製品については再認証は必要ないようにしました。ただし、ヨーロッパでは、CENELECはより唐突な移行方法を選び、既存製品はIEC 62368に準拠する必要があります。これと比較すると、製品の個々のコンポーネントを再認定する必要があるかどうかについては、明確性が低いものとなっています。
IEC 62368へのコンプライアンスがまだ自発的であった年に、この移行を容易にする目的で、この規格には第4.1.1項が含まれています。この条項では、IEC 60950-1またはIEC 60065への既存の認証を持つシステムのコンポーネントを、IEC 62368-1への製品認証全体で使用することを許可しています。欧州のCENELECでは、EN 62368-1が2020年12月20日に発効されたように、第2版ではこれを廃止するという意向がありましたが、IEC 60950-1またはIEC 60065の最終版で認証されたコンポーネントである場合にのみ有効とする、という譲歩を以てこれを残すことが決定されました。あまり知られてはいませんが、この優遇措置は、周囲温度が50°C以下の環境での動作を意図したコンポーネントにのみ適用され、多くの産業用アプリケーションは除外されています。また、第4.1.1項は内部コンポーネントだけでなく、外部電源、壁コンセント、デスクトップタイプにも適用されることも明確化されました。
IEC技術委員会TC108は、第4.1.1項をIEC 62368-1の第3版に拡張すべきかどうかを検討しましたが、CENELECはこの条項は取り上げないと述べました。EN 62368-1のエディション2では、第3版で削除されるということを具体的に記述していますが、これは出版前のバージョンのまま残り、次の改訂版で削除されるという注記が付いています。しかし、IEC 62368-1の第3版は、欧州委員会の整合化企画(HAS)コンサルタントが、第4.1.1項をはじめとする規格の一部に懸念を抱いているため、承認に問題が生じています。このバージョンはまだ公表されておらず、整合性が取れていないため、さらなる技術的な提出なしに欧州の低電圧指令への準拠を示すために使用することはできません。現在、2023年に公表を予定しているEN 62368-1の第4版には、この条項は含まれないことがほぼ確実となっています。他の保留点が解決されれば、その時点で統一されるでしょう。もちろん、2023年までには、コンポーネントメーカー各社はIEC 62368-1の再認証を行っている可能性は高いと言えます。
テーマとなるのは、どのような認証ルートを取るか、また、製品やその部品の変更によって旧規格の使用が認められないかどうかは、最終製品のメーカーに委ねられているということです。これはいずれにしても、IEC 62368-1の危険に基づいたアプローチに沿ったものです。外部電源モジュールが付属している製品の場合、電源に旧規格の認証マークしか表示されておらず、認証書類の中で第4.1.1項が適用されている場合、販売業者やエンドユーザーは、製品全体がIEC 62368-1に適合していることを認めたがらないことがあります。最も安全な選択肢としては、譲歩案の使用を避け、IEC 62368-1またはそれに相当する国内認証を再取得しているメーカーの部品を指定することです。CUIは、製品認証プロセスをより簡単に、より少ないリスクで行うために、外部電源の製品群でこれを実現しています。
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