2017年11月28日、CUI Inc著 - 3分の閲読
最終更新日:2023年12月19日
デジタルエレクトロニクスはユビキタスになり、私たちの生活のあらゆる側面に浸透しています。携帯電話やタブレットから、フィットネスモニタおよび家庭用デジタルアシスタント、インターネット、テレコムのインフラ、 データセンター、交通管理、フライ・バイ・ワイヤ飛行制御機まで、私たちは今やデジタル技術に囲まれ、それにどっぷりつかった生活を送っています。この依存により、ユーザーはデジタル技術の内部で使用される電子部品の信頼性に関する問題について、ますます意識するようになってきています。
この傾向を考えると、設計者が設計上の意思決定をするためにMTBF(Mean Time Between Failures)などのコンポーネントベンダーからの主要なデータポイントを利用して、コンポーネントの選択プロセスにおいて信頼性を非常に重視することは当然と言えるでしょう。
MTBFは、特に複数のベンダーのコンポーネントを比較する場合に信頼性を評価するための有用な指標となりますが、 多くのユーザーが陥る罠は、MTBFの数字がコンポーネントの予想寿命に直結しているという誤った仮定を立ててしまうことです。電子設計においてはこれに関して多くの誤解があるため、電子部品の信頼性と寿命の間の関係性を再確認することが重要です。
信頼性の定義とは、製品の単一のユニットが特定の条件下で動作し、なおかつ特定の期間正しく動作する確率のことを指します。統計的には次のように表すことができます。
R(t) = e-λt
ここで、λは初期故障(1年以内の故障率)および摩耗故障(終末期)を除く内因性故障率です。
したがって、信頼性は、以下に示されているよく知られたバスタブ曲線の平坦な中央部分における故障の確率です。
平均故障時間(Mean Time To Failure)はλ、1 /λの逆数で求めることができ、特に電力業界では平均故障間隔(MTBF)として表現されます。MTBFを計算すれば製品の典型的な予測寿命が得られると思うかもしれませんが、これはありがちな誤解です。
1時間あたり10 - 6の内因性故障率(λ)を持つコンポーネントを考えてみます。MTBFは100万時間ですが、下のグラフに示されている R(t) = e-λt 曲線は、統計的に36.7%のユニットしかこの期間で動作しない可能性が高いことを示しています。60.6%は500,000時間稼働すると予測され、さらに90.5%は100,000時間持続することが予測されます。
各コンポーネントのこの情報を使用して、システムを構成するすべてのコンポーネントの個々の障害発生率を合計し、製品全体の耐用年数を把握する必要があります(λA =λ1n1+λ2n2 + ... +λini)。
コンポーネントの大部分が堅牢な信頼性を示していたとしても、たった一つの脆弱なリンクによりシステム全体の信頼性を損なう可能性があることは明らかです。つまり、システムの信頼性は、最も信頼性の低いコンポーネントと同等だということになります。設計者にとっては、より脆弱なコンポーネントに戦略的に焦点を当てることで、全体的なパフォーマンスと信頼性を大幅に向上させることができます。
重要なのは、MTBFが製品やコンポーネントの分析・比較に信頼できるデータを提供していても、それがすなわち製品寿命に直結していると解釈すべきではないということです。
今や私たちの生活やビジネスとは切り離せない存在となったデジタル製品の信頼性への水準は、今後もますます上昇し続けるでしょう。業界の一員として、CUIは自社製品の信頼性、MTBF、および実際の平均寿命について明確に伝達することで、エンジニアがより良い設計体験を楽しむことができるようサポートすることができます。
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