2018年6月19日、Bruce Rose著 - 3分の閲読
Underwriters' Laboratories(UL)は広く知られているとおり、製造者が認証マークを付けることができるコンポーネントや製品のテストと評価をおこないます。最も一般的なのは、「UL リステッド」と「UL レコグナイズド」マークです。しかし、この2つのマークの意味は時に誤解されていることがあり、本ブログでは電源の世界でのこれらの違いを説明していきます。
私たちは皆、コンポーネントと製品に対する安全機関の「承認」について、いささか軽々しく話してしまいがちです。世界各地のテスト機関で「UL 承認」という用語が使用されていますが、米国のテスト、認証機関はこの用語を使用していません。実際、米国テスト機関のウェブサイトを見てみると、「承認」という用語を使用するのは唯一、間違った例を説明する場合のみです。安全を保証することは製造者のみの責任であることを示すため、UL はこの用語を使用することは避けており、UL は手順が守られていることを確認するために工場訪問中にサンプルと書類をチェックする監査役としての役割のみ担っています。「認証」という用語は一部の UL マークに使用されていますが、それは特定の仕様に対して UL がサンプル製品のテストを完了したことを伝えていることのみを示します。この用語が使用されていたとしても、すべての可能性のあるアプリケーションでその製品やコンポーネントの使用が「承認された」ことを暗示するものではありません。
UL やその他の機関はこのスタンスを長年取ってきましたが、最近の安全基準はこの状況をさらに強化し、製品がどのように設計されたかの規範についてよりも「危険に基づく」ユースケースをより多く考慮しています。これは、製造者は製品やコンポーネントが目的のアプリケーションでどの程度の危険をもたらす可能性があるのかを特定し、それを宣言して適切にテストする必要があるということを意味します。繰り返しますが、この基準安全機関が「製品をテストして」安全マークを付けることを許可するのではなく、安全コンプライアンスの責任を製造者に置き、「製品に設計」して証明させるようにしています。従って「UL 承認済み」は許可されておらず、「UL リステッド」が使用されています。しかし、その違いは何でしょう?
基本的な概念としては、「リスティング」は、UL が発行し機器の特定カテゴリー向けに全米で認知されている安全基準に対してテストされた、特定機能を持つ単体製品に対して言及します。下記の図は、「C」と「US」の追加記号がついた「UL リステッド」マークを示しており、これはカナダと米国での相互認証が適用されていることを示しています。
「レコグニション」はシステム内のコンポーネント用で、下の図では「C」と「US」の追加マークが付いています。電源はコンポーネントであると論じられています。電源は固有のユーザー機能を持たない上、通常は他の機器の内部に埋め込まれており、エンドタスクを実行するには関連製品が常に必要だからです。オンボードのDC-DCコンバータから数キロワットのAC-DC電源まで、ほとんどの電源は「UL レコグナイズド」コンポーネントとして分類されています。特定の適用可能な基準に対する評価をすることで、電源はULレコグニションを得られます。例えば、良く知られているITEやAVアプリケーション用のUL 62368、または医療アプリケーションのUL 60601-1などです。
UL レコグニションはボードレベルをはじめとするすべてのシステムコンポーネント用で、「UL レコグナイズド」電源には通常それ自体が UL レコグニションを要するコンポーネントを含んでいます。これには、「X」や「Y」コンデンサや安全隔離バリアを超えたり、その故障が危険を引き起こす可能性のあるあらゆるコンポーネントが含まれます。レコグニション要件は、ワイヤーやプラスチックのようなバリアコンポーネントに使用されている材料にも及びます。共に評価され、短絡を発生させなかったり、安全バリアに有害である長期の化学的相互作用を発生させない場合は、特定グループの材料も「絶縁システム」として承認を得ることができます。
パワーコンバータについては、UL レコグニションは高電圧AC-DC電源の安全を保証するだけではありません。例えば、低電圧の非絶縁ポイントオブロードDC-DCコンバータは、安全上は「UL レコグナイズド」であり得ますが、関連テストは、ピーク電圧、材料の可燃性、コンポーネントの温度上昇に対してのみという場合もあります。その対極として、高出力のAC-DCコンバータのレコグニションでは、感電、火災、煙、電磁放射、およびその他の有害なエネルギー源の潜在的な危険性を評価するためのテストが適用されます。
「レコグナイズド」された電源は、常に目的の環境向けに品質対応しています。機能的、ベーシック、サプリメンタリー、強化などの、安全分離のさまざまなカテゴリーを目にする機会があるかもしれません。電源は「UL レコグナイズド」で「ベーシック」分離を持つことができますが、より高いレベルの保護なしでは高電圧に対する安全バリアとしては許可されません。同様に、「システム電圧」も要因となります。115 Vac の「強化」分離定格を持つ電源は、230 Vac の「ベーシック」定格のみを許されます。
レコグニションのレベルに影響する他の条件は、電源の「過電圧カテゴリー」、環境の「汚染度」、そして高度です。また、温度などの環境条件も、電源がそれに対して設計されていない場合は、性能に影響し、故障につながる可能性があります。このすべてが指定されたとしても、UL はある周辺温度までのみのレコグニションを付与し、それ以上は内部の材料温度が非常に控えめに設定された最大値である、推薦温度よりも高くなっているとみなします。これは、電源製造会社が製品の機能性能を、例えば最大で85℃の周囲温度という温度まで簡単に保証してしまうという状況を引き起こしかねないのですが、一方、UL承認ではそれよりも低い温度までのみ有効としています。
電源用の「ULレコグナイズド」カテゴリーには例外があります。ラボ用品、外部アダプター、DINレール電源は、単体製品とされており、従って「ULリステッド」として分類されます。この分類により、内部「レコグナイズド」コンポーネント電源ではなく、外部「リステッド」部品を指定するシステム設計者にとっては様々なことが容易になります。これにより、その他のシステムコンポーネントとの組み合わせでは、安全機関が評価を行わなければなりません。この理由から、アプリケーションの電源アーキテクチャが考慮される場合、「UL リステッド」マークが提供する使いやすさは、しばしばボード上電源の外部電源アダプターにとって有利に傾きます。
常に当てはまるわけではありませんが、大筋として「UL リステッド」は外部電源アダプターなどのような内蔵型製品用で、「UL レコグナイズド」は内部AC-DC電源のようなより大きなシステムを構成するコンポーネント用である、と言えます。ただし、これらの安全マークは全体像の一部をカバーするのみであるため、アプリケーションに対しては注意を払い、採取製品の安全な動作を保証する環境を意図して使用する必要があります。
UL認証を理解することは、安全で準拠した電源を設計するために不可欠です。電源のUL認証に対しては専門家のガイダンスが必要ですか?今すぐお問い合わせください。
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