2020年12月22日、Bruce Rose著 - 11分の閲読
電源は入力電圧と出力電圧の両方をもっているため、多くの場合入力コネクターと出力コネクターが関連付けられています。入力電力と出力電力の伝送に利用できるコネクターは多数あるので、一文書ではきちんとカバーできませんでした。この議論では、単相AC-DCウォールマウントと、ACウォールマウント(入力)およびDC電源コネクター(出力)付きのデスクトップ電源について取り上げます。ACウォール電源コネクターは、関連電圧や最大電流と同様に標準化されているため、これらのコネクターに関する考察はとても簡単です。DC出力コネクターはあまり規格化がされていないため、一般的に販売されているコネクターのサブセットについて説明します。
ACウォールマウントの選択は通常簡単で、1)どの地域や国で電源が使用されることを目的としているか、2)このアプリケーションでは、導線が2本か3本か、という2つの尺度に分けられます。ほとんどの国では、プラグとソケットの組み合わせ、電圧、周波数が明確に定義されています。ウォールマウントの電圧は標準化されているため、AC電源コネクターも同様に標準電圧に十分な絶縁を提供するための定格があります。コネクターの最大電流定格も標準化されており、異なる定格では、プラグとソケットの組み合わせが違っていると嵌合できないなど、物理的に異なるコネクター端子が使用されています。
デスクトップ・アダプタでは、AC接続はコードですが、ウォールマウントアダプタには内蔵プラグを持ちます。AC電源コードが付属する多くの製品には、電源コードが接続されている製品シャーシに標準ACインレットがあります。このような製品では、AC電源コードを適切なウォールマウント構成に変更することで、異なるスタイルのウォールマウント(異なる地域や国)に接続できます。一部のウォールマウント電源アダプタには類似した機能を持つものもありますが、AC電源コードを交換する代わりに、ACブレードがさまざまな地域や国に合わせて交換可能です。
国際電気標準会議(IEC)は、一般にプラグを文字で分類するガイドを発行しています。本ガイドは、プラグのタイプの一般的なグループ化について網羅していますが、可能性のあるすべての微妙な差異やバリエーションを説明するものではありません。例えば、タイプAプラグ(北米、中米、日本で使用)は、北米では一般的に互いに一方向しか接続できない(ニュートラルブレードが広い)ようになっていますが、日本では必ずしもそうとは限りません。つまり、日本のプラグは通常、北米では使えますが、必ずしもその逆で使えるとは限りません。世界のプラグタイプについては、世界のプラグと入力電圧ガイドをご覧ください。
ほとんどの海外市場では、単相AC電力は3導線で供給するように標準化されていますが、すべてのアプリケーションで3導線がすべて採用されているわけではありません。この3導線は、電力搬送用の2本の導線と、3本目は感電保護(PE)、フレーム接地(FG)または安全接地用の1本から構成されています。給電は2本の給電用導線で行われ、接地導線は危険な電圧に対する安全性を高めるために存在します。
2導線プラグを使用する最近の電源設計は、接地導線を必要とせずに設計の安全性を保証するのに十分な絶縁材でつくられています。絶縁、隔離、および動作電圧とクラス2とクラスII電源との相違点に関するCUIの記事には、このトピックに関する追加情報が記載されています。
多くの単相AC電源アプリケーションでは、給電導線はラインとニュートラル、またはライン1とライン2のいずれかとしてラベル付けされています。ニュートラル導線の電圧電位は、ローカル接地の電圧電位に近いため、このライン電圧よりも「より安全」であると見えることがあります。本議論で前述したように、北米のタイプA電源プラグは、ニュートラル導線にはより太いスペードを使用し、ライン導体には細いスペードを使用します。北米の壁コンセントのスロットと合致することで、給電でライン導線とニュートラル導線を識別できます。多くのAC電源プラグとソケット(北米のタイプAバージョン以外)は、反転したライン導線とニュートラル導線(例えば、前述の日本のタイプAコネクター)と接続できるため、国際市場でのほとんどの給電では、ラインとニュートラルAC入力の導線を区別しません。
ライン1とライン2の導線を使用する場合、多くの場合、2本の導線の電圧は接地電位に対してバランスがとれています。電力はライン1とライン2の導線で伝達されるので、ニュートラル導線はありません。
DCコネクターには多くの規格があり、規格外のコネクターにはさらに多くのバージョンがあります。ここでは、バレルコネクター、DINコネクター、USBコネクターについて説明します。
DC出力電源コネクターの3つのカテゴリに関連する機能のいくつかを以下に示します。
バレルコネクター | DINコネクター | USBコネクター |
---|---|---|
標準化 | 標準化 | 標準化 |
手頃な価格 | 高電流能力 | 小型 |
方向は不問 | 堅牢 | 信号の伝送 |
バレルコネクターは、緩い機械的交差でつくられているため製造コストが安く、接続時の方向を決める必要がないため、DC電源コネクターの最も一般的な設計です。
バレルコネクターの最も一般的な形態は、絶縁体で分離された同心金属スリーブ(バレル)から成るプラグです。内側と外側のスリーブとプラグバレルの長さの両方に対して、多くの標準径があります。一般的な直径と長さはありますが、設計エンジニアは、製品で使用されるプラグの望ましい寸法を指定する必要があります。
対応するバレルジャックにはプラグの内側スリーブに収まっているピンがあり、多くの場合、ある程度の機械的なスペースと、プラグの外側スリーブに接触する片持バネがあります。バレルプラグと同様に、バレルジャックには、中央ピンの直径、内ケースの直径、プラグの挿入深さの寸法があります。
バレルプラグがジャックに挿入されると、ジャックのバネがプラグの外側のスリーブに押し付けられ、ジャックの中央ピンがプラグの内側スリーブに接触するようになっています。プラグとジャックの寸法の選択は、希望の機械的なフィットが合い、適切な電気接続が確立されることを確認するために必要です。
このバレルコネクターの特徴は多くのアプリケーションに適していますが、バレルコネクターの設計に起因する問題もあります。ジャックの中央ピンとプラグの内側スリーブ間の機械的交差は標準化されていません。同様に、ジャックの片持バネがプラグの外側のスリーブに押し付ける力も標準化されていません。これらの標準化がないと言うことは、プラグとジャックとの挿入の固さや保持力を特定することが難しく、広範囲にわたって差異が生じることを意味します。標準のバレルコネクターには、接続の機械的保持メカニズムがないため、接続が外れてしまうという可能性もあります。接続を確実に保持するための解決法は、ロッキングバレルコネクターを使用することです。ロッキングバレルコネクターは、ネジ式とツイストロック機構があります。
バレルコネクターの電流定格は、片持バネと外側スリーブとの間の力と表面積、内側ピンと内側スリーブ間の力と表面積によって決定されます。この力が小さく、表面積が小さいと、コネクターの電流定格は制限されます。
バレルコネクターには、内側と外側の導線の直径がさまざまなサイズのものがあります。内径と外径の組み合わせに関する基準はありませんが、製品の設計者は、既存の製品に合わせて寸法を指定することも、他の製品とは異なる固有の寸法を指定することもできます。最も一般的なバレルコネクターのサイズは、外径 5.5 mm、内径 2.1 mmと外径 5.5 mm、内径 2.5 mmの2種類です。
外側の導線を接地かネガティブ電圧、内側の導線をポジティブ電圧とする慣習は進化してきました。この構成のメリットは、スリーブの外部プラグが露出した導線に接触する場合、露出した導線は、他の電位ではなく接地に接続されることです。この慣習は必ずしも守られるわけではなく、一部の製品設計チームは、外側の導線にポジティブ電位を、内側の導体にネガティブ電位を配置しています。
電源コネクターがインラインなっている電源コードを選択することは、業界で使用されている最も一般的な構成です。この構成は製造が簡単で、嵌合時にユーザーがコネクターの位置を合わせるのに便利です。ただし、ライトアングルのプラグ構成が好まれるアプリケーションもあります。ライトアングルプラグを選択する理由の1つは、DC電源ケーブルをプラグに繋ぐときにシャーシにより近くできるため、製品の物理的な設置面積を小さくできるからです。ライトアングルプラグを選択するもう1つの理由は、バレル接続の片端ずつの間を繋ぎ留めておくことができることです。電源コードはコネクターに対して直角であるため、コードに力が加わるとバレルコネクターのトルクに力が加わり、コネクターを外すことが難しくなります。また、ケーブルに加わった張力がプラグに伝わらないように、製品ケースのフックまたはラッチの下にコードを固定することもできます。
DIN電源コネクターは、4つのピンまたはソケット端子を円形ハウジングで囲んだスタイルのコネクターです。これらのコネクターは、もともとドイツの標準化団体(Deutsches Institut fur Normung)によって規格化されていました。したがって、DINコネクターの名前は現在、IEC 60130 9-によって定義されています。パワーDINコネクターは、バレルコネクターが必要な電流を流すことができない場合に、中程度パワーのアプリケーションでよく使用されます。パワーDINコネクターと信号用DINコネクターとの間にはよく混乱が生じます。パワーDINコネクターの絶対的な定義はありませんが、従来のパワーDINコネクターでは、コネクターの中心を起点におよそ90度の位置に4つの端子があります。ピンとコネクターの寸法は付属書類などにはあまり記載されていませんが、4ピンDIN電源プラグとジャックは正しく接続されていると仮定できます。また、バレルコネクターのようなネジ式ロック機能のあるパワーDINコネクターもあります。
USBコネクターは、元々DC電源とデジタル信号を供給するために開発されました。また、USBの電源電圧レベルとコネクターが広く受け入れられたことで、給電専用アプリケーションでも広く普及しています。Type-Aコネクターは、おそらく現在最も人気のあるUSBコネクターで、約2A未満の負荷電流レベルでの5VDCを必要とするアプリケーションでよく使用されています。USB Type-Aコネクターのバリエーション(ミニ、マイクロなど)は、同様の給電アプリケーションでも使用されています。Type-Aコネクターとその同類製品における1つの制限として挙げられるのは、コネクターが正しく接続される方向が1つだけであることです。この制限により、ユーザーは視覚的に識別するか挿入してみることでプラグとジャックの正しい方向を見極めなければなりません。
USBType-Cコネクターはよりコンパクトで、2方向のどちらにも挿入できます。Type-Cコネクターは、旧バージョンのUSBコネクターよりも高い電力レベルに対応し、5Aで最大20Vの定格を持っています。CUIの記事「USB Type-C、給電、プログラマブル電源」を参照して、より高い電圧と電流の供給に使用されるUSB給電(PD)とプログラマブル電源(PPS)の仕様について理解を深めてください。製品の設計者たちは、DC電源プラグに任意のコネクターを選択できますが、多くの電子製品では、5VDCを受けるのにUSB入力電源ジャックを使用しています。この一般的な慣行により、5Vの出力電圧定格を持つ電源では、プラグから5V が出ると予想されるUSB電源ジャックを使用して、多くの製品が損傷を受けないようにUSBプラグのみを使用することが推奨されています。この推奨事項の例外は、USB Type-C コネクターを使用する場合、USB PDとPPSの仕様では、電源と負荷が5VとV20の間の電圧をネゴシエートできます。
電源の入出力電圧と電流の電気的特性だけではなく、電源ではコネクターも指定する必要があります。AC入力コネクターは比較的標準化されているため、意図する電力レベルと国際市場での規格によって制限されます。対照的に、DC出力コネクターは標準化されていないため、設計者はより多くの意思決定が求められます。出力DC電源プラグは、出力電圧と電流に対して定格され、製品で求められる機械的特性に適合している必要があります。CUIには、電源コネクターに関するお客様の意思決定にアドバイスできる技術および販売サポートスタッフがいます。
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