2017年5月9日、CUI Inc著 - 4分の閲読
最終更新日:2018年1月2日
* 欧州連合の効率基準に関する最新情報については、Ecodesign 2019/1782規制の最新投稿をお読みください。
注記:この記事は2017年5月9日に発行され、EUの自発的なCoCティア1およびティア2基準が法制化される直近のタイムラインを反映するため2018年1月2日に更新されました。
エネルギー効率および効率基準の全貌を的確に認識するには、エネルギーを節約するという動機を理解する必要があります。エネルギー、とくに再生不可能な供給源からのエネルギー消費を削減するための努力は、実際には1990年代初頭に始まりました。当時米国は自主的な表示イニシアチブであるEnergy Star®を展開しており、消費者はコンピューターハードウェアや白物家電を購入する際に、製品の電力消費に関して情報に基づいた購買決定を下せるようになりました。
折しも1998年にカリフォルニア大学バークレー研究所が行った調査で、米国の国内電力消費合計のうち最大5%が、外部電源アダプターのスタンバイ電力消費の直接的な結果として無駄になっていたことが明らかになりました。当時の電源アダプターの多くは線形電力変換技術を採用していましたが、この技術の効率は通常操作時において最低50%という低さでした。最終機器の電源が切られた状態、あるいは電源が抜かれた状態でも、電源がエネルギーを消費し続けたのです。
私たちのストーリーの本当の始まりはここからです。カリフォルニア州エネルギー委員会(CEC)によるエネルギー効率義務が2004年に初めて制定されました。さらに多くの外部電源アダプターがスタンバイ電力消費を国内電力消費合計の30%にまで押し上げるのを防ぐため、当社のエネルギー効率基準年表にもある通り、他の立法機関も基準策定に乗り出しました。これは、いくつかの段階を踏まえての規制基準の進化を示しています。この段階を現在「レベル」と呼んでいますが、レベルIIIから現在のレベルVIまで進化してきました。
この年表でもよく分かる通り、これらの効率規制はさまざまな場所で異なる時間帯にいろいろな方法で採用されました。義務規制もあれば、自主規制もありました。この飛躍的な進歩は必然的に装置メーカー、特に世界市場に製品の供給を望む機器メーカーにとっての課題となります。したがって、よく話に上る「基準の調和」が実現されるまでは、OEMは新しいエネルギー効率基準の提案を常に意識し、それらの基準を迅速にデザインに実装しなければなりません。
現在の義務規制の中で最も厳しいレベルVIは、米国で2016年2月から有効になりました。この基準は、大部分がEUで2014年に自主規制として導入された欧州行動規範(CoC)ティア1規制を包含していますが、10%負荷条件の下で指定された格外ティア1効率要件は例外となっています。電源アダプターは低負荷状態での効率がきわめて悪いため、この基準を満たすために電源メーカーには新たな課題が課せられることになりました。
残念なことに、エネルギー効率基準の進化はまだ続きます。EUのCoCティア2は、米国エネルギー省(DoE)がレベルVIで定めた基準を遥かに厳しくしたものです。これらの下限は25%、50%、75%、全負荷状態で測定された最小平均アクティブ効率、新たに導入された10%負荷効率測定値、および無負荷時の電力消費の最大値に適用されます。また限界値は、以下の低電圧・基本電圧タイプ向けの表にも示されているように、さまざまなクラスの電源アダプターに向けて定義されています。こういった基準がいかに厳しいものになってきているかの一例として、定格電力49W〜250Wのネームプレートによる供給を考えてみましょう。無負荷時の最大電力の許容値はレベルVI規制で210mW、CoCティア1では250mWですが、ティア150に準拠するためには2mW未満でなければなりません。CoC基準が正式に義務付けられる日付は発表されていませんが、すでに多くの製造業者は電源に対し、より厳しい認定を取り始めていることにご注意ください。
CoCティア1単一電圧外部AC-DC電源、低電圧 | |||
---|---|---|---|
銘板出力電力(Pout) | アクティブ・モード時の最小平均効率 (10進数表記) |
アクティブ・モード時の10%の最小平均効率 (10進数表記) |
無負荷時の最大電力(W) |
0.3 W = P out < 1 W | = 0.50 x P out +0.086 | = 0.50 x P out | = 0.150 |
1 W < P out = 49 W | = 0.0755 x ln(P out ) + 0.586 | = 0.072 x ln(P out ) + 0.50 | = 0.150 |
49 W < P out = 250 W | = 0.880 | = 0.780 | = 0.250 |
P out > 250 W | 該当なし | 該当なし | 該当なし |
低電圧電源アダプター向けCoCティア2効率仕様。ネームプレート出力電圧が6ボルト未満、ネームプレート出力電流が550ミリアンペア以上の電源アダプターは、低電圧アダプターに分類されます。
CoCティア2単一電圧外部AC-DC電源、基本電圧 | |||
---|---|---|---|
銘板出力電力(Pout) | アクティブ・モード時の最小平均効率 (10進数表記) |
アクティブ・モード時の10%の最小平均効率 (10進数表記) |
無負荷時の最大電力(W) |
0.3 W = P out = 1 W | = 0.50 x P out + 0.169 | = 0.50 x P out + 0.060 | = 0.075 |
1 W < P out = 49 W | = 0.071 x ln(P out ) - 0.00115 x P out + 0.670 | = 0.071 x ln(P out ) - 0.00115 x P out + 0.570 | = 0.075 |
49 W < P out = 250 W | = 0.890 | = 0.790 | = 0.150 |
P out > 250 W | 該当なし | 該当なし | 該当なし |
基本電圧電源アダプター向けCoCティア2効率仕様。低電圧電源アダプターに分類されないものはすべて、基本電圧電源アダプターに分類されます。
地理的に異なるさまざまな市場で単一の製品を販売したいOEMにとって、最も厳しいエネルギー効率基準を満たす外部電源アダプターを搭載した機器の出荷を確実にし、デザインの将来性を確保するのが望ましいのは明らかです。そのためには、現在そして今後の基準が求める効率性能を提供できる、最先端の設計が可能な電源メーカーと提携することが重要です。CUIでは、お客様に常に競争の先頭に立っていただくよう努めることに誇りを持っています。当社ではすでに、全ての負荷レベルにおける効率要件を満たすよう基板の配線を改良済みで、外部AC-DC電源の大部分が今ではCoCティア1およびティア2効率規制に準拠していることを最近発表しました。
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